ランニングを趣味にしている私ですが、大会にでるたびにスーパーシニアの存在に「自分もがんばらなくては!」と思います。3年前の東京マラソンの時は80歳の最高齢女性ランナーにも出会いました。ずっと運動できる、体づくりを楽しんでいる方を目標にしています。
股関節の勉強会に参加してきました。講師は横浜市立大学整形外科教授の稲葉先生です。
小児の先天性股関節脱臼の予防から、高齢者の人工股関節置換術まで幅広いお話が聞けました。
整形外科医は骨の職人大工さんともいわれ、ノミやノコギリを使って手術をします。最近では、そこにコンピューターの位置情報技術を利用して、より正確な手術を施行することができるそうです。3Dの立体的な骨や関節の形をCT検査で描出し、人工関節をつけるとどうなるかのイメージが術前にわかるそうです。どこに、どの角度で入れると術後の合併症が少ないかもわかるため、以前は数か月かかっていた入院期間が、1週間に短縮されました。術後数か月後には以前のようにヨガやテニスを楽しむ時代のようです。変形性股関節症でランニングができなくなったら、このコンピューターナビゲーションを利用した手術を受けたいとも思ったほどです。アメリカではロボットがこの手術をする段階にあるそうですから、ますます進歩する分野ですね。
小児科医としては、乳児の股関節脱臼の話が聞けたことが収穫でした。先天性股関節脱臼は、足の付け根の関節が外れる病気です。生まれつき外れていることは少なく、うまれつき外れやすい段階にあった子が、その後の環境によってはずれやすくなってしまうと考えられています。ですから外れやすい段階にある子をリストアップし、その子たちを注意深く観察することが大切です。つまり抱っこの仕方やオムツや衣服の締め方など環境を改善することで大幅に予防改善が期待できる病気でもあります。日本小児整形外科学会では、注意すべき5つのポイントをHPなどで公開して、啓もう活動をしています。どうぞご覧になってください。クリニックでも妊婦さんや乳児検診で資料を配布してみたいと思います。
1) 向き癖があり反対側の脚がM字型開脚とならない
2) 女児(男児より関節が柔らかいため)
3) 家族に股関節の悪い人がいる
4) 逆子(骨盤位)で生まれた
5) 寒い地域や寒い時期(11月~3月)に生まれた
(脚を伸ばして衣服でくるんでしまうため)
※下記よりPDFファイルでもご覧になれます