昨日、静岡でアトピー性皮膚炎の勉強会に参加してきました。成育医療センターアレルギー科の福家先生は、「経皮感作」について教えてくれました。つまり、乳児期早期に湿疹があると食物アレルギーのリスクが高まります。炎症でバリア機能が低下した皮膚から環境中の食物抗原が入ってきて、経皮感作(IgE抗体が作られる)を引き起こし、食物アレルギーの発症リスクを高めることがわかってきました。具体的には家庭の寝具から検出された鶏卵アレルゲンは、ダニアレルゲンよりも高濃度でした。このことは、私たちが想像している以上に、鶏卵製品であるクッキーやお菓子などが空気中や衣服に目に見えない粒子として存在するということになります。お菓子の食べ歩きがよくないこと、しっかりパジャマに着替えることは、こんな点でも大事なんですね。
慶応義塾大皮膚科の久保先生は、アトピー性皮膚炎の患者さんには皮膚の保湿保護をするフィラグリン遺伝子の異常があると教えてくれました。乾燥しやすい、湿疹になりやすいなどの体質は家系や遺伝的な素因もあります。我が子の体質に向き合ったスキンケアが大切になります。
両先生とも、口をそろえて「乳児湿疹の徹底した早期治療を」「離乳食の早期開始を」とおっしゃいました。一時期、乳児湿疹は自然に治るからとか、離乳食はゆっくりという時代がありましたが、そうではないと断言されていました。今回勉強したことを、皆様の診療に役立てていきますので、お気軽にご相談ください。